監修:順天堂⼤学医学部 膠原病内科 名誉教授 髙崎 芳成 先生
2023年 3月更新
関節リウマチの治療に用いられる薬には、
消炎鎮痛薬(NSAIDs)、抗リウマチ薬(DMARDs)、ステロイド、生物学的製剤、JAK阻害薬などがあります。
消炎鎮痛薬は、関節の腫れや痛みを和らげる働きがあります。
速効性がありますが、関節リウマチの炎症を根底から取り除くことはできません。
関節の腫れや痛みが長期間続く場合、消炎鎮痛薬を継続的に服用することがあります。
副作用である胃潰瘍や十二指腸潰瘍に十分に注意する必要があります。
抗リウマチ薬は関節リウマチの原因である免疫の異常に作用して、病気の進行を抑える働きがあります。
現在の関節リウマチ治療の第一選択薬*は抗リウマチ薬です。
効果が出るまでに1ヵ月から半年くらいはかかるため、消炎鎮痛薬を併用することもあります。効果が不十分な場合には複数の抗リウマチ薬を併用したり、他の抗リウマチ薬に切り替えたりすることがあります。
*第一選択薬とは、数ある治療薬のうち、まず最初に投与するべき治療薬のことをいいます。
炎症を抑える作用が強力で、関節の腫れや痛みを和らげる働きがあります。消炎鎮痛薬や抗リウマチ薬を用いても、炎症が十分に抑制できない場合に用いられます。しかし、ステロイドを中止すると治まっていた関節の腫れや痛みが再発するため、一度使用し始めるとなかなか中止できません。ただし、抗リウマチ薬や生物学的製剤の効果が十分にみられたときは、ステロイドを中止することができます。
ステロイドには感染症、糖尿病や骨粗鬆症などを引き起こす恐れがあるため、連用する場合には十分な注意が必要です。
炎症を引き起こすサイトカインであるIL-6やTNFαの働きを妨げ、関節破壊が進行するのを抑えます。
この薬は注射(点滴または皮下注射)で投与しますが、その間隔は1週間に2回から2ヵ月に1回までとさまざまです。通院回数やライフスタイルに合わせて治療薬を選択することができます。
「生物製剤について1,2」のページでは、生物学的製剤についての詳細を解説します。
炎症を引き起こすサイトカインの働きを抑え、関節の炎症を抑える飲み薬です。抗リウマチ薬に対して効果が不十分な場合に使用します。免疫の働きが低下し、感染症にかかりやすくなることがあります。
関節リウマチに使われるその他の薬剤として、関節に注射するヒアルロン酸製剤などがあります。